2016年7月19日火曜日

伝染性単核球症 医師国試メルマガ


医学部1年~6年生の進級、CBT、医師国家試験対策の
マンツーマン個別指導スクール

ドクター個別指導スクール

を運営する東京メディカルスクール 代表の岡田です。

今回もメールマガジンをお届けです!

1問目の解剖学(頸静脈孔)と、3題目の問題は
歯学生の試験範囲でもあります!!

2問目の伝染性単核球症がEBウイルスであることは
同様に出題範囲です!

医学生、歯学生、医系学生皆さんしっかり勉強していきましょう!!



ドクター個別スクール講師の松本健一です!!
医師国家試験対策メールマガジン第9回目!
それでは問題を見ていきましょう。

1. 頸静脈孔を通過する神経を3つ選びなさい。(神経解剖学)

a.聴神経
b.舌咽神経
c.迷走神経
d.副神経
e.舌下神経

解答:b、c、d
解説:頸静脈孔とは、側頭骨の錐体部後頭骨の
頸静脈突起との間にある通路のことです。ここを内頸静脈、下垂体静脈洞、
上行咽頭動脈、後頭動脈硬膜枝といった血管、及び舌咽神経、迷走神経、
副神経といった脳神経が通ります。これを踏まえ
て各選択肢を吟味していきましょう。

×a 聴神経(VIII脳神経)は顔面神経(VII脳神経)とともに内耳孔を通ります。
○b、c、d 上述した通りで、舌咽神経(IX脳神経)、迷走神経(X脳神経)、
副神経(XI脳神経)は頸静脈孔を通過して頭蓋外
に出ます。
×e 舌下神経(XII脳神経)は舌下神経管を通ります。

解剖の問題を解くときは必ずアトラスを確認するようにしてください。
では次の問題に行きましょう。

2.伝染性単核症で特徴的でない所見はどれか。(感染症学)

a.皮疹
b.肝脾腫
c.イチゴ舌
d.末梢血異型リンパ球
e.後頸部リンパ節腫脹

解答:c
解説:感染症に関わる設問の中でもHIVウィルスと
EBウィルスは頻出です。EBウィルス感染症の代表格が本問で採り上げた
伝染性単核症であり、これはEBウィルスがBリンパ球に感染するこ
とにより惹起されます。3歳までに80%の人が感染すると
言われており、成人の大部分は抗体陽性です。
感染経路は咳やくしゃみなどの飛沫、あるいは唾液を介してのものになりま
す(故にkissing diseaseとも呼ばれています)。では各選択肢を吟味していきましょう。


○a 約3割ほどの患者に見られます。 
○b 典型的な所見です。
×c 川崎病や猩紅熱に認められる所見で、伝染性単核症とは無関係です。
○d 異型リンパ球、すなわち分葉の少ない単核球が
末梢血に認められるので「伝染性単核症」という病名がついているの
です。
○e 典型的な所見です。

EBウィルスはヘルペスウィルスの一種でDNAウィルスです。
本問で扱った伝染性単核症だけではなくバーキットリンパ腫、
上咽頭癌、ホジキン病、そして最近では慢性疲労症候群との
関連性も指摘されています。これも合わせて覚えておきましょう。

では最後の問題に行きます!!

3. 全人的苦痛について適切なものを1つ選びなさい。(終末期医療)

a.遺産相続に関する悩みを含む。
b.家族間の問題への関与は避ける。
c.不安から痛みを訴える患者には鎮痛薬の効果はない。
d.身体的苦痛、心理的苦痛、及び霊的苦痛の3要素から成る。
e.「どうしてこんな目にあうのか」という訴えには病態生理を説明する。


解答:a

解説:終末期の患者の痛みを総称して「全人的苦痛」と呼び、
全人的苦痛は、身体的苦痛、心理的苦痛、霊的苦痛、社会的
苦痛の4要素から構成
されます。では各設問を吟味していきましょう。

○a 社会的苦痛の一種です。
×b 家族間の問題は社会的苦痛の一種であり、避けるべきではありません。
×c 不安(精神的苦痛)から痛みを訴える患者さんには
精神科医師とも連携し、鎮痛薬、抗うつ薬、睡眠薬などを併用しま
す。
×d 社会的苦痛を加えた4要素です。
×e 「どうしてこんな目にあうのか」という訴えは実存的苦悩の吐露であり、
霊的苦痛の一種となります。患者さんだけ
でなくその家族の思いにも耳を傾けるなど患者さんに残された生きる力を支える援助は医療者には求められます。

身体的苦痛と精神的苦痛は理解に難くないと思うのですが、
社会的苦痛と霊的苦痛は些か分かりにくいのではないでしょう
か?それぞれどのようなものか以下に具体例を示しておきます。

社会的苦痛…仕事・経済・家庭内・遺産・人間関係などの問題
霊的苦痛…人生の意味への問い・今自分が体験して
いる苦しみの意味・罪の意識・死の恐怖・死生観に対する悩みなど

霊的苦痛の除去に関しては、諸外国では宗教に
頼る患者さんも多いのですが、日本ではなかなかそういう方は少ないのが現
状です。故に、ここは医師の力量の見せ所であり、
緩和ケアに特化した医師の養成が今後ますます必要とされるでしょう。

いかがでしたでしょうか?
国試だけでなく、CBTや卒業試験でも頻繁に問われる
重要事項を今後も掲載・解説していきます!早期から対策すること
で、余裕を持って進級し、そして国試合格を手に入れましょう!!

ドクター個別指導スクールでは、医学部生の
定期試験・進級試験、CBT、国家試験対策を家庭教師・個別指導の両方のかた
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各自成書でご確認ください。

執筆
東京メディカルスクール 講師(医師)
松本 健一

監修
東京メディカルスクール 代表
岡田 優一郎