2016年6月29日水曜日

歯科医師国家試験 上皮異形成



東京デンタルスクール 塾長 岡田です。

購読が無料の定期試験、CBT、歯科医師国家試験対策の
メールマガジンの最新です。

東京デンタルスクール無料メルマガ
(配信は日本最大級のメルマガ まぐまぐを利用しています)
http://www.mag2.com/m/0001494170.html

今回はテスト頻出の上皮異形成など盛りだくさんです!

では岩脇先生(歯科医師)よろしくお願いいたします!



こんにちは!東京デンタルスクール 
教務主任の岩脇 清一です。 

高学年の皆さん、前回の内容はいかがでしたでしょうか?
基礎を見つめなおすいいきっかけになれば幸いです。

本日も暑さに負けずさっそく始めましょう!

1.上皮異形成の特徴はどれか。すべて選べ。(病理)
a 滴状の上皮脚
b 核分裂像の増加
c 核細胞質比の低下
d 基底細胞の極性消失
e 基底膜下の異形細胞の存在



解答:a,b,d
解説:病理学から、上皮異形成に関する出題です。

この分野は、「扁平上皮癌との鑑別」「細胞異形・構造異形」が
国家試験、進級試験、卒業試験でネタにされます。しっかりと押さえましょう。

~正しい上皮異形成の特徴~

核細胞質比・核小体の増大(核が大きく・濃くなるイメージ)
・核濃染(クロマチンの増大)
・異常核分裂像、核分裂像の増加
(これら細胞一つ一つの異常=細胞異形)
上皮脚の涙滴状などの不正な形態
・基底細胞の極性の喪失(配列不正・分裂方向の乱れ)
(これら配列の乱れ=構造異形)

さて、「上皮異形成」と「扁平上皮癌」を分かつものとは?

「基底膜を越えた浸潤の有無」

でしたね。
逆に言えば、どんなに上皮異形成の特徴に乏しくても、
「基底膜」という「越えてはいけない一線」を越えた瞬間、
それは扁平上皮癌となります。
eの選択肢こそ、扁平上皮癌の鑑別となります。

病理組織像でもこの辺りは頻出です。
図と言葉を対応できるよう、確実な知識を身につけましょう!!

次いきましょう。

2. 即時義歯の特徴で正しいのはどれか。1つ選べ。(全部床)

a 歯の小矯正に用いることができる。
b 原則として装着前に蝋義歯試適を行う。
c レジンテンプレートは人工歯排列の際に用いる。
d 装着することによりもとの咬合高径を維持できる。
e 正中にまたがる場合は模型の抜去予定歯をすべて削去してから人工歯を排列する。


解答:d
解説:全部床から即時義歯についての出題です。
即時義歯をはじめとした特殊な義歯は、
定期試験、進級・卒業試験、国家試験で頻繁に狙われます。しっかりと押さえましょう。


~即時義歯の特徴~
・抜歯後すぐに装着する
・作成時には抜歯後の状態を予測したうえで模型を削る
(正中にまたがる場合は片側ずつ模型を削り、人工歯排列を行う)
・抜歯前の蝋義歯試適は基本的にできない(当該部分に歯が残っているため)
・レジンテンプレートを用いて歯槽骨整形を行うことがある(歯を削った後の模型上で作成)
・抜歯窩の保護がはかれる
・抜歯前の咬合高径が保持できる
・抜歯窩の治癒と共に調整が必要となる

ちなみに、歯の小矯正が可能なのは「治療用義歯」です。

試験頻出のこの分野。しっかりと押さえておきましょう!!

次いきましょう!

3.筋弛緩作用がネオスチグミンにより影響を受けるのはどれか。すべて選べ。(麻酔)

a  ベクロニウム
b  ロクロニウム
c  d-ツボクラリン
d  パンクロニウム
e  スキサメトニウム



解答:a,b,c,d
解説:麻酔より筋弛緩薬についての出題です。内容は薬理的なものですが、
全身麻酔においてよく用いられる話のため、
今回は麻酔の問題として出題しました。(低学年の皆さんも力試しに解いてみてください。)
定期試験、進級試験・卒業試験、国家試験でも狙われます。しっかりと理解しましょう。

さて、ネオスチグミンとはどのような薬物でしたでしょう?

「コリンエステラーゼ阻害薬」

でしたね。

コリンエステラーゼとは、アセチルコリンを分解する酵素です。
これを阻害するということは、


「アセチルコリンを増やす」

ということになります。


筋弛緩薬に話を戻しますが、筋弛緩薬には二種類の作用機序がありました。
・非脱分極型:ひと言でいえば、アセチルコリンと
ニコチン受容体の奪い合いをするもの。
したがって、アセチルコリンが増えると筋弛緩作用は抑制される

d-ツボクラリン、ロクロニウム、ベクロニウム、パンクロニウム

・脱分極型:ニコチン受容体に結合し脱分極を起こすが、その後も分解されないため
アセチルコリンが結合できず、筋弛緩作用を示す

スキサメトニウム

したがって、この問題は言い方を変えると
「非脱分極型の筋弛緩薬はどれか?」ということになります。

ちなみに、ネオスチグミンを使用する際には、
アセチルコリンによる副交感神経の過剰な働き(特に徐脈)を抑えるため、
必ずアトロピンと併用します。

聞き方はだいぶ回りくどいですが、聞かれていることは基本的なことです。
「基本的なことを回りくどく聞く」ことは、
昨今の国試のトレンドでもあるので、しっかりと対策をしましょう。
 
4問目!これがラストです。

4.コンポジットインレー窩洞の特徴で正しいのはどれか。1つ選べ。(修復)

a 窩縁斜面は90°とする。
b 線角・点角を明瞭にする。
c 歯肉側の窩縁は歯肉縁下に設定できる。
d イスムスはメタルインレー窩洞より小さくする。
e 外開きの角度はメタルインレー窩洞と同等とする。

解答:a
修復より、コンポジットインレーの窩洞についての出題です。
ここはメタルインレー窩洞との違いが非常に問われます。
理工学的な知識を要求されるところでもあるので、
ぜひ理工学と一緒に学習することをおすすめします。

~正しいコンポジットインレー窩洞の特徴~
・窩縁斜面は90°とする(=バットジョイントとする)、
スライスカットはしない(縁端強さが弱いため)
・線角・点角は丸め、隅角を明瞭にしない(適合性が劣るため)
・外開きの程度は大きくする(材料の強さが劣るため、適合性が劣るため)
・歯肉側の窩縁は歯肉縁上とする(接着性レジンセメントを用いるため)
ここは合着の手順も含めて、しっかりと押さえておくようにしておきましょう!

いかがでしたでしょうか?

東京デンタルスクールでは、大学1年~国浪生
までの定期試験・CBT・国家試験対策を
家庭教師・個別指導の両方のかたちで行っています。
ぜひお気軽にお問い合わせ・ご相談ください。

東京デンタルスクール
03-6802-5260


(メディカルスクール事務局 10:00~23:00・年中無休)
また、ホームページ内の資料フォームからもお問い合わせいただけます。
http://www.dentist-school.com/

メールマガジンのバックナンバーはこちらから↓
http://www.mag2.com/m/0001494170.html


[ご注意]
内容に関しては、免責事項となります。
各自成書でご確認ください。

執筆
東京デンタルスクール 教務主任
岩脇 清一

監修
東京デンタルスクール 塾長
岡田 優一郎