2023年4月7日金曜日

金属と不動態化、イオン化傾向 歯科医師国家試験の歯科理工学

 こんにちは、東京デンタルスクールの岡田です。

本日は歯科医師国家試験で頻出の歯科理工学、金属と不導体化

イオン化傾向について触れていきたいと思います。


今回の記事でこのようなことを簡単に説明できるようにしてください。

(記事を一読いただくことにより説明できるようになります)

1)メタルフリーが注目されているが、未だ金属も用いられている現実的な理由

2)不動態膜は酸化膜の一種ですが、なぜ用いられるのか?

3)ステンレスの主成分は?

4)不動態膜を形成する代表的な金属は?


・・・

早速学んでいきましょう!


近年では、歯の詰め物(充填物)には金属以外のセラミックなど

メタルフリーが注目を浴びています。


しかし、保険診療の制約や、金属の優れた特徴である展性や

歴史などから金属も未だ多くの臨床で用いられています


口の中は温度や化学物質、そして異種金属による電位差など

様々な刺激にさらされる過酷な環境であるといえます。


例えば、金属などイオン化傾向が小さい安定した金属では、

腐食などのような問題は一般的に問題となることは少ないですが、

(例えば歴史上、埋蔵金がきれいな状態で発見されるイメージ)

多くの非金属では、日常目にする「錆び」が問題となります。


金(Au)は優れた金属ですが、経済的な面や色調などから、

すべての部位や条件下で金を用いることが出来ません。


そこで、多くの歯科用金属は様々な添加物や材料の特徴を用いて活用しています。


今回ご紹介する不動態膜がその一つです。

Cr(クロム)やTi(チタン)などは不動態膜を形成しやすい金属です。

不動態膜自体は一種の酸化物ですが厚さは数nmと、とても薄く、目には見えません。


この不動態膜は空気に触れた瞬間に、瞬間的に形成されます(その後安定化)

不動態膜自体は酸化膜ですが、このように極めて薄く、また、

目に見えないために、化学的には一種の安定状態にあるといえます。


不動態膜の材料は日常でも頻用されています。例えばステンレス包丁

は日常的な概念では「錆びない(さびにくい)」イメージがあると思います。

これは、ステンレスはFe(鉄)が主成分ですが多量のCr(クロム)

などが含有されていることにより不動態化が起こっているためです。


今回は、歯科理工学の不動態化についてお話をしてきました。

歯科医師国家試験対策では、単純暗記が求められる

部分・箇所もありますが、このように多くの現象を日常と合わせて理解

してゆくことが様々な問題に対応できるようになるポイントです。


普段からこつこつと学習頑張ってください。


執筆/ 岡田優一郎 博士(歯学)、歯科医師


全国に対応。マンツーマンの個別指導で歯学部1年~6年生、国浪人生
の定期テスト対策を行うパイオニア。東京デンタルスクール

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