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2016年10月26日水曜日
臨床検査技師の国家試験対策 個別指導
こんにちは!東京メディカルスクール です。
定期試験・臨床検査技師国家試験対策無料メールマガジン、
第5回目です。
第5回目は、分野を限定せず広い範囲から問題を出題しました。
低学年の皆さんは、解答がわからなくても解説を読んで理解しておきましょう。
高学年の皆さんは、全問正解を目指して頑張りましょう!
問題は前回から1問増えて全部で5問あります。さっそく始めましょう!
それでは、1問目です。
【問題1】血清L/H比について誤っているのはどれか。
(1)一次予防の基準値は2.0以下である。
(2)動脈硬化性疾患のリスク評価に有用である。
(3)LDLコレステロールがHDLコレステロールの何倍あるかを示した数値である。
(4)中性脂肪が増加するとL/H比も増加する。
(5)HDLコレステロールが減少し、LDLコレステロールが増加するとL/H比は改善する。
解答:5
解説:臨床化学/化学分析検査学から、血清L/H比に関する問題です。最近の研究で動脈硬化に起因する疾患の評価とし
て、LDLコレステロールとHDLコレステロールの比率をあらわしたL/H比が有用であるとされました。
今後問題として出題されるのではないかと思います。
○(1)正しい。病気を予防するだけでなく、より広い意味で、疾病予防、障害予防、寿
命の延長、身体的・精神的健康の増進を目的とする予防医学では、それに基づいて一
次予防、二次予防、三次予防に分類される。
一次予防の目的である、健康増進や疾病の予防の場合の本検査項目の基準値は2.
0以下とされています。また、高血圧や糖尿病、狭心症の動脈硬化性疾患などの既往
がある場合の基準値は、1.5以下とされている。
○(2)正しい。本検査は先にも述べたとおり動脈硬化性疾患のリスク評価の目安として
有用である。
○(3)正しい。L/H比は、「LDLコレステロール÷HDLコレルテロール」より求められる。
これは、LDLコレステロールがHDLコレステロールの何倍あるかを示した数値である。
○(4)正しい。中性脂肪は、体内に必要な脂質の1種類であるが、消費されなかったエ
ネルギーは貯蔵され、これが過剰になると脂肪肝や肥満の原因となる。中性脂肪値が
高いと、動脈硬化性による疾患のリスクとなる。また、中性脂肪値が高いとLDLコレ
ステロール値も上昇することから、L/H比も上昇する。
×(5)誤り。L/H比の改善は、LDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロールを増
加させることが必要である。
検査技術や診断基準は、年々新しい技術や知見が見出されています。定番の問題だけでなく、
そのような問題も出題されることがありますので、新しい情報を知識として取り込んでおくことも必要です。
次の問題にいきましょう。
【問題2】脳の機能について正しいのはどれか。2つ選べ。(生理学)
(1)右視野は右脳の後頭葉で支配される。
(2)前頭連合野は記憶の保持に関与する。
(3)感覚性言語中枢は前頭葉のBroca野に位置する。
(4)運動性言語中枢は上側頭回のWernicke野に位置する。
(5)気分や感じという情動行動は大脳皮質で統御される。
解答:2、5
解説:生理学から、脳の機能についての問題を出題しました。
定期試験、模擬試験、国家試験でも出題されやすい分野です。
×(1)誤り。視野は、視交叉における交叉により、それぞれ反対側の視覚野に投射され
る。このことから、右視野は左脳の後頭葉に、左視野は右脳の後頭葉にそれぞれ投射
される。
○(2)正しい。記憶は、海馬により統御されている。これは大脳辺縁系の皮質である。
大脳の皮質は、前頭連合野、頭頂連合野、側頭連合野、視覚前野と辺縁葉に分けられ
る。このうち、前頭連合野は記憶の保持、注意集中、将来に対する意思が形成されて
いる部位である。
×(3)誤り。言語野には感覚性と運動性があるが、感覚性言語中枢は上側頭回のWernicke
野に位置し、運動性言語中枢は前頭葉のBroca野に位置する。
×(4)誤り。
○(5)正しい。情動とは、気分や感じという個人的感情体験の、対外的な行動的表現で
ある。この情動行動は、大脳皮質で完全に統御されている。
脳の機能に関する問題の出題形式は、文章題だけではなく組み合わせのこともあります。
特に、体性感覚とそれを統御する部位に関する問題は頻繁に出題されています。
難しい問題はあまり出題されませんので、得点に結びつきやすいのではないかと思います。
では、3問目の問題です。
【問題3】心電図計の患者コードのシールド
断線で生じるアーチファクトはどれか。(生理機能検査学)
(1) 筋電図の混入
(2) 基線の動揺
(3) 交流障害
(4) 高周波発振
(5) 無信号(平坦波)
解答:3
解説:生理機能検査学から、心電図計に関する工学的な問題です。
心電図を計測するうえで、アーチファクトが生じることあります。
この問題をとおしてそれぞれの原因と対策を確認しておきましょう。
シールド付電極線(リード線)は電線の周りにシールド(静電誘導対策)を施した電極線で、
交流ノイズを遮蔽する目的で活用されている。
シールドされたコードを入力ボックスに接続する際には、本線の端子とアース端子の2本の端子をそれぞれ差し込む。
今回は心電図計の問題でしたが、同様の問題は筋電図計、脳波計でも出題されます。
この2つについても、アーチファクトの原因と対策を確認しておきましょう。
あと2問です。
【問題4】「組織・目的物質」と「染色法」の
組み合わせで誤っているのはどれか。2つ選べ。(病理組織検査学)
(1)星状膠細胞 カハール染色
(2)アミロイド メチルバイオレッド染色
(3)弾性線維 アザン・マロリー染色
(4)神経原線維 ビルショースキーの鍍銀染色
(5)腎糸球体基底膜 PAS染色
解答:3、5
解説:病理組織検査学から染色法に関する問題です。
多くの染色法がありますが、繰り返し出題されている染色法は押さえておきましょう。
○(1)正しい。星状膠細胞を染色する染色法は、カハール染色である。対象組織はブロ
ムホルマリン液で固定し、褐色~黒褐色に染色される。
○(2)正しい。アミロイド組織の染色は、コンゴーレッド染色・メチルバイオレット染
色を用いる。染色結果は両染色法とも淡紅~赤であるが、メチルバイオレット染色で
はアミロイド組織がメタクロマジーをおこすのが特徴である。
×(3)誤り。弾性繊維はワイゲルトのレゾルシンフクシン液を用いた、エラスチカ・ワ
ンギーソン染色により黒紫色に染まる。アザン・マロリー染色は、膠原繊維(アニリ
ンブルー:青)・筋組織(アゾカルミンG:赤)・核(アゾカルミンG:赤)を染める
染色法である。
○(4)正しい。神経原繊維の染色法には、ボディアン染色・カハールの神経原繊維染色・
ビルショウスキーの鍍銀染色が代表的である。それぞれに使用する銀液が異なること
に注意する。
×(5)誤り。腎糸球体基底膜の代表的染色法は、メセナミン銀を使用した「PAM染色」で
ある。PAS染色は、グリコーゲン・真菌・中性ムコ多糖を染色するに有用である。
病理組織検査学の出題範囲は、固定・薄切・包埋・染色と一連の組織標本の作成に関するところからです。
染色法では様々な試薬を使うことから、特徴的な試薬が使われる染色法は特に出題される傾向が高いところです。
染色法とあわせて、特徴的な試薬も覚えておくことが重要です。
次が最後の問題です。
【問題5】ある分離培地の組成と調製法を次に示す。
この「分離培地」と「微生物」の組み合わせで正しいのはどれか。(微生物検査学)
<組成>
・リン酸一カリウム--------3g
・グルタミン酸ナトリウム-----1g
・濃グリセリン(局方)------6mL
・2%マラカイトグリーン液----6mL
・全卵液-------------200mL
・精製水-------------100mL
<調製法>
上記を中試験管に分注し、90℃60分凝固滅菌する。
(1)3%小川培地 Mycobacterium tuberculosis
(2)CCFA寒天培地 Clostolidium difficile
(3)ラパポート培地 Salmonella Enteriditis
(4)1%小川培地 Mycobacterium avium complex
(5)SF培地 Streptococcus facialis
解答:1
解説:微生物検査学から、「分離培地」と「微生物」の組み合わせを問う問題です。
昨年の国家試験にも同様の形式が出題された問題です。
このような問題の解答には、特徴的な培地の成分を覚えておく必要があるでしょう。
<解答へのアプローチ>
組成:この分離培地の組成を見ると、「リン酸一カリウム」・「濃グリセリン(局方)」・「2%マラカイトグリーン
液」・「全卵液」がそれぞれ含まれています。特に、マラカイトグリーン液(2%)が使われていることから、作成後の培
地の色が緑色になることが推測されます。また、全卵液が使われていることもこの分離培地の特徴点です。全卵液が添加さ
れている培地はそれほど多くはありません。
調整法:どの培地でも作製後は、高圧蒸気滅菌などにより滅菌処理を行いますが、
問題文中では「凝固滅菌」であることは注目すべき点です。
ここまでの内容を踏まえ、消去法で「(1)3%小川培地」と「(2)1%小川培地」が候補に残ります。
では、同じ小川培地でも3%と1%の違いはどこにあるのでしょうか。この違いは、リン酸カリウムの添加量によるもの
です。問題文中は3gとなっていますので、この分離培地が3%小川培地であることがわかります。
さらに、3%小川培地と1%小川培地では使用用途が異なります。3%小川培地は選択分離用培地として、1%小川培地は
薬剤感受性試験用培地として用いられています。
以上のことから、(1)の組み合わせが解答となります。
最後の問題はびっくりするような問題だったかもしれません。しかし既に国家試験に同様の問題が出題されています。今
後、このような問題が出題されることが多くなるのかもしれません。出題されたとしても、問題文中に解答となるヒントが
あるはずです。
メールマガジンも5回目になりましたが、
これまでの問題はいかがだったでしょうか。国家試験の時期が2月実施にな
り、あまり時間がないと焦るかもしれません。まだまだ、自分の不得意科目を得点につなげることができる時期です。
低学年の方は、日々の講義・実習の復習をしっかりしていきましょう。
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