2026年9月3日木曜日

【歯科医師国家試験】119C57をわかりやすく解説!下顎区域切除後の偏位と補綴

みなさんこんにちは。歯学部現役生から既卒生まで、マンツーマン個別指導【秋葉原教室・松戸教室・全国マンツーマン個別指導教室から選択可能です】東京デンタルスクール 岡田です。


今回は、第119回歯科医師国家試験 C57、顎補綴・部分床義歯の問題を見ていきたいと思います。臨床実地問題ですが、問題理解を深めるために今回は文章でポイントを記します。







【今回のポイント】

①右側下顎の区域切除がされている。

②今回制作するのは「上」顎の補綴装置

③現在、すでに顎切切除と、1年前感染したプレート除去により「顎は偏位している」


この問題、一見すると少し難しそうですが、ポイントは実は一つです。

「下顎区域切除後、その偏位した患者さんにどう咬ませるのか」


76歳の男性。下顎区域切除術を受け、その後プレートで再建されていました。しかし感染によってプレートを除去し、その後、だんだん咬合が不安定になってきた。そして今回は上顎に補綴装置を製作するという症例です。


区域切除は、辺縁切除と違って、区域切除では下顎骨の連続性が失われます。今回、いったんプレートで連続性を保っていましたが、そのプレートも除去されています。

そうすると筋肉のバランスが崩れ、残った下顎は基本的に欠損側、つまり切除側へ偏位します。これは区域切除後の非常に重要な特徴です。

しかもこの患者さんは、プレートを除去してから1年経っています。

ここがこの問題では非常に重要です。


今から無理に「手術前の正常な下顎位に戻しましょう」という症例ではありません。長期間の筋肉のアンバランスや瘢痕拘縮などによって、すでに偏位した下顎位が定着している可能性があります。

そこで、現在の偏位した位置を利用して咬めるようにする。これが今回の補綴治療の考え方になります。

選択肢を見ていきましょう。


  • a 習慣性咀嚼側は右側とする。→ ×
    すでに右側は区域切除、感染したプレートが1年前に除去されており、左側に変異しています。欠損側を習慣性咀嚼とはしません。
  • b 顔貌の対称性の回復を目指す。→ ×
    すでに1年前に欠損した右側下顎にはプレートがなく、顔貌を完全に左右対称へ戻すことが、今回の上顎補綴装置の主目的ではありません。もちろん審美性も大切ですが、この症例の主訴は咀嚼困難です。まず機能的な咬合の回復を考えます。
  • c 偏位した位置で咬合採得を行う。→ ○
    ここが重要です。すでに長期間経過して下顎が偏位していますので、その患者さんが実際にとれる機能的な下顎位で咬合を採得します。無理に正常な位置へ戻して咬合採得するわけではありません。もちろん、理想ではありませんが、今回の状況では現在できる対応・治療は上記が現実的です。
  • d 下顎位の健側への偏位を防止する。→ ×
    これは方向が逆です。下顎区域切除で連続性が失われると、残存する下顎は一般に欠損側へ偏位します。したがって「健側への偏位を防止する」という説明は合いません。
  • e 装置には下顎歯列の圧痕を付与する。→ ○
    これも重要です。上顎側の補綴装置に、偏位した下顎歯列が咬み込めるような圧痕、いわば受け皿をつくります。これによって少なくなってしまった上下顎の咬合接触を確保し、咀嚼しやすくします。上顎側に設けるオクルーザルランプをイメージすると分かりやすいでしょう。こうした上顎側のランプは、下顎偏位症例の咬合接触や咀嚼機能の改善に利用されます。

したがって正答は、

c 偏位した位置で咬合採得を行う
e 装置には下顎歯列の圧痕を付与する



したがって今回は、

「偏位した位置で咬合採得」+「上顎装置に下顎歯列の圧痕」

この2つをセットで覚えておいてください。

以上、第119回歯科医師国家試験C57の解説でした。
東京デンタルスクールでは、国家試験問題も単に答えを暗記するのではなく、なぜその答えになるのかを一つずつ整理して、次の問題にも使える知識にすることを大切にしています。

それでは、引き続き一緒に頑張っていきましょう。


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