2026年8月29日土曜日

第119回歯科医師国家試験C26解説|エックス線撮影時の患者説明

 皆さんこんにちは。

歯学部現役生(1~6年)、既卒生のマンツーマン個別指導塾【秋葉原教室(東京)、松戸教室、オンライン個別指導教室】東京デンタルスクール 岡田です。

今回は、第119回歯科医師国家試験C問題26のミニ講義です!


【問題119C26】

口内法エックス線撮影時に被曝を懸念して躊躇する患者への説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

a 「エックス線画像がないと治療は行えません」
b 「エックス線の照射範囲を絞って撮影します」
c 「防護エプロンをするので被曝はありません」
d 「通常よりエックス線の量を少なくして撮影します」
e 「エックス線画像から得られる情報で正確な診断が出来ます」


【正答】

b、e


【解説】

この問題は、被曝を不安に感じている患者さんに、歯科医師としてどのように説明するかを問う問題です。

患者さんが不安を抱えている場合にはすぐに「撮影をやめます」「根拠がなく、少しだけにします(線量)(正確に読影できない可能性がある)」「必ず撮影するように説得する」などは望ましい行動ではありません。


「なぜ撮影が必要なのか」
「撮影によって何が分かるのか」
「被曝を少なくするためにどのような対策を行っているのか」

を具体的に説明することが重要です。


医療被曝では、検査によって得られる利益が放射線による不利益を上回るかを判断する「正当化」と、診断に必要な画質を保ちながら被曝線量をできる限り少なくする「最適化」が基本となります。

bの「照射範囲を絞る」は被曝低減の説明、eの「正確な診断ができる」は撮影によって得られる利益の説明です。この2つを患者に説明することによって、エックス線撮影の必要性と安全への配慮の両方を伝えることができます。


【各選択肢の解説】

a 誤り

「エックス線画像がないと治療は行えません」という説明は、一方的であり、患者に撮影をさん強制するような表現です。エックス線撮影が必要な理由、撮影しない場合に診断や治療へどのような影響があるのかを説明し、患者の理解と同意を得る必要があります。

国家試験では、「絶対に必要です」「撮影しないと治療できません」など、患者さんの自己決定を尊重しない表現は誤りになりやすいので注意しましょう。


b 正しい

照射野を必要な範囲に限定することで、エックス線が照射される組織の範囲を小さくし、患者の被曝を低減できます。これは放射線防護における「最適化」に該当します。

必要な部位だけを、診断に必要な画質が得られる条件で撮影することが基本です。

c 誤り

防護エプロンによって被曝を低減することはできますが、被曝を完全にゼロにすることはできません。

d 誤り

被曝を心配しているからといって、単純に通常より根拠なく、エックス線量を減らせばよいわけではありません。

線量を必要以上に減らすと画質が低下し、診断に必要な情報が得られなくなる可能性があります。さらに、撮影をやり直すことになれば、結果として被曝が増えることもあります。

「ただ線量を減らす」のではなく、「診断に必要な画質を保ちながら、線量を可能な限り少なくする」と考えましょう。

e 正しい

エックス線画像からは、視診だけでは確認できない齲蝕の広がり、歯槽骨の状態、根尖部病変、歯根の形態などの情報を得られます。撮影によって得られる情報が、より正確な診断や適切な治療方針の決定につながることを患者に説明するのは適切です。

ただし、実際の患者説明では「必ず正確な診断ができます」と断定するのではなく、「診断に必要な情報が増え、より正確な診断につながる可能性がある」など考慮が必要です。


【覚え方・国家試験ポイント】

被曝を心配する患者さんへの説明では、

「被曝を少なくする対策」+「撮影によって得られる利益」

を説明します。

本問では、

b:照射範囲を絞る=被曝を少なくする対策
e:正確な診断につながる=撮影によって得られる利益

となります。


この問題は知識問題のように見えますが、実際には「患者に対して誠実で、正確な説明ができるか」を問う問題です。そのため、放射線治療だけではなく、様々な社会生活を行ってゆく際にも必要となる考えです。

国家試験では、「被曝はありません」「絶対に安全です」のような極端な表現は選ばず、正当化と最適化などをしっかり意識して判断しましょう。



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