2017年1月18日水曜日

臨床検査技師 個別指導の東京メディカルスクール




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こんにちは!
東京メディカルスクールです。 

第10回目も前回に引き続き、国家試験や模擬試験に出題されそうな問題です。
低学年の皆さんにも、回答できる問題もあると思います。
高学年の皆さんは、全問解答できるように頑張りましょう!

問題は全部で5問あります。さっそく始めましょう!
それでは、1問目です

【問題1】ホルモンとその作用との対応のうち、誤っているのはどれか。(生理学)
(1)ガストリン          胃酸分泌の抑制
(2)セクレチン                HCO3-を多く含む膵液の分泌促進
(3)カルシトニン              血中Ca2+ の減少
(4)インスリン                血中グルコースの減少
(5)アルドステロン            腎臓におけるNa+ 及びCl- の再吸収促進
解答:1
解説:生理学からホルモンに関する問題です。過去の模擬試験や国家試験でもよく出題された問題です。同様の問題は臨床検査技師国家試験だけでなく、薬剤師や看護師国家試験にも出題されている問題です。高学年のみなさんのみならず、低学年のみなさんも押さえておきましょう。
×(1)誤り。ガストリンは、胃幽門部(出口の方)G細胞から分泌されるホルモンで胃酸分泌を促進し、消化を助ける。
○(2)正しい。セクレチンは、十二指腸のS細胞から分泌されるホルモンで膵液の分泌を促進させるホルモンである。
○(3)正しい。カルシトニンは、血中のCa2+濃度を低下させるホルモンであり、分泌は甲状腺傍ろ胞細胞が行う。Ca2+濃度の低下は、骨吸収(骨=Ca貯蔵庫から血中へのCa移動)の抑制により実現される。
○(4)正しい。インスリンは、血糖が上がった時に分泌されるホルモンであり、血中グルコース濃度を減少させる。
○(5)正しい。アルドステロンは、腎臓の遠位尿細管においてNa+の再吸収を促進させることにより血中Na+濃度を上昇させるホルモンである。また、遠位尿細管におけるNa+の輸出機構はNa+/Cl-共輸送であるため、Na+の再吸収を促進させることは同時にCl- の再吸収を促進させる。

ホルモンに関する問題のなかでもその機能を問う問題は基本的な部分です。模擬試験、国家試験でも点数に結びつけやすい問題です。

次の問題です。
【問題2】抗菌薬とその作用の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。(微生物学)
(1)セフォタキシム       細胞膜合成阻害
(2)バンコマイシン        細胞壁合成阻害
(3)クリンダマイシン      蛋白合成阻害
(4)レボフロキサシン      DNA合成阻害
(5)ミノサイクリン       アミノアシルtRNAリボソーム結合阻害
解答:2、5
解説:微生物学の範囲でよく出題される抗菌薬に関する問題です。最近の国家試験では、基質拡張型β-ラクタマーゼに関する問題が出題されましたが、抗菌薬とその作用を問う問題も出題される可能性の高い問題です。
高学年のみなさんはしっかりと復習されることをお勧めします。
×(1)誤り。セフォタキシムは母核として7-アミノセファロスポラン酸(7-ACA)をもつβ-ラクタム系抗菌薬である。セフォタキシムが属するセフェム系抗生物質はその開発時期、抗菌力、β-ラクタマーゼに対する安定性の特徴から第1世代から第3世代までに分類される。抗菌薬の作用はβ-ラクタム系抗菌薬として、細胞壁の合成阻害作用で、殺菌的に作用する。
○(2)正しい。グリコペプチド系抗菌薬に属するバンコマイシンは、放線菌が産生する抗菌薬である。芳香族アミノ酸からなるペプチド部分に糖が結合した構造を持つ。作用機序はペプチドグリカン合成のリピド中間体と結合物をつくることで、細胞壁合成の初期段階を阻害する。
×(3)誤り。グリンダマイシンはマクロライド系抗菌薬と共通性が高く、交差耐性があることから、マクロライド系抗菌薬の類似薬として扱われている。この抗菌薬は、グラム陽性菌と嫌気性菌に抗菌力を示す。その作用機序は、細菌のリボソーム50Sサブユニットに結合し、ペプチド転移反応を阻害する。
×(4)誤り。合成抗菌物質である本剤は、クラム陰性菌に対してのみ優れた抗菌力を示すオールドキノロングループとグラム陽性菌に対しても優れた抗菌力を示すニューキノロンに分類される。設問中のレボフロキサシンはニューニノロンに属し、その作用機序は、細菌のDNAジャイレースに作用し、DNAの複製を阻害する。
○(5)正しい。テトラサイクリン系抗菌薬に属する本剤は、グラム陽性菌・グラム陰性菌に抗菌力をもつ広域スペクトル抗菌薬である。アミノアシルtRNAリボソーム結合阻害がその作用機序であるが、低濃度では静菌的、高濃度で殺菌的に作用する。

抗菌薬に関する問題では、例えば「βラクタム系抗菌薬が有効な細菌はどれか。」との問題も出題されますので、押さえておく必要があるかと思います。

3問目です。頑張りましょう。
【問題3】真核生物の開始コドンに対応するアミノ酸はどれか。(生化学)
(1)L-トリプトファン
(2)L-アラニン
(3)L-グルタミン酸
(4)L-メチオニン
(5)L-ヒスチジン
解答:4
解説:生化学から遺伝子に関する問題です。遺伝子や遺伝子検査に関する問題は、国家試験でも出題されていることから、「遺伝子・遺伝の基礎的事項」、「遺伝子検査法」、「遺伝性疾患」について対策しておくことが必要でしょう。
本問題は、RNAのタンパク合成(翻訳)について問う問題である。RNAのタンパク合成過程には、tRNA(転移RNA)、rRNA(リボソームRNA)、mRNA(メッセンジャーRNA)の3種類が関わっている。最終的にはリボソームの表面を舞台とし、tRNAが運んでくるアミノ酸を材料として合成される。
 アミノ酸を示す遺伝暗号(コドン)は、64種類のトリプレッドからなる。このうち、翻訳の開始を示すコドンはAUGの1種類であり、メチオニンが対応している。また、翻訳の終了を示す終止コドンであるUAA、UAG、UGAはアミノ酸を示さない。詳細は成書のmRNAの遺伝暗号表を参考とされたい。

遺伝子や遺伝子検査については、なかなかとっつき難い分野ですが、これから先の国家試験でも問題数としては増えてくるのではないかと思います。今後国家試験を受験する方は対策をしておきたいところです。

あと2問です。
【問題4】血液検査項目とその検査結果が低値となる組み合わせで正しいのはどれか。(臨床検査医学総論)
(1)尿 酸            腎不全
(2)総蛋白            脱 水
(3)カリウム           検体溶血
(4)クレアチニン         や せ
(5)クレアチンキナーゼ      甲状腺機能低下症
解答:4
解説:検査項目と病態の組み合わせに関する問題です。各検査項目の高値と低値には多様な臨床的意義があります。模擬試験、国家試験でも問われるところですので、しっかりと押さえておきましょう。
×(1)誤り。腎不全では尿酸が排泄できず、血中で高値をみる。
×(2)誤り。脱水では濃縮がおこり、血中では蛋白高値をみる。
×(3)誤り。検体溶血では赤血球中のカリウムが血中へ漏出し、高値となる。
○(4)正しい。血中クレアチニン値は筋量を反映する。やせでは筋量が少ないため、血中クレアチニンが低値をみる。
×(5)誤り。甲状腺機能低下症ではムコ多糖の沈着により筋が崩壊し、血中クレアチンキナーゼの高値をみる。

この問題では、各検査項目が「何を知るための検査なのか?」、「その検査項目と疾患はどのような関係があるのか?」が理解できているかどうかが解答のポイントとなります。

これで最後です。
【問題5】放射性同位元素で物理的半減期が1年以上なのはどれか。2つ選べ。(放射性同位元素検査技術学)
(1)ヨウ素131
(2)ガリウム67
(3)セシウム134
(4)テクネチウム99m
(5)ストロンチウム90
解答:3、5
解説:放射性同位元素検査技術学から半減期に関する問題です。過去の模擬試験、国家試験にも出題されているところです。よく出題されている放射性同位元素の半減期は覚えておくようにしましょう。
×(1)誤り。ヨウ素131はもっともよく知られている放射性同位体である。天然では、大気中で宇宙線とキセノンの反応によって生成し、地上でウラン‐238(238U)の自発核分裂によって生じる。人工的には核分裂で大量に生成する。生体に対する影響では、ベータ線による甲状腺被曝が問題となる。ガンマ線も放出されるがその線量は小さい。物理的な半減期は約8日である。
×(2)誤り。ガリウムの同位体核種であるガリウム67は、医療の分野においてはクエン酸ガリウムとして悪性腫瘍や炎症性病変の核医学診断薬として持ちられる。クエン酸ガリウムとして静注した際の半減期は約78時間である。ガリウム67の物理的半減期は約3日である。
○(3)正しい。セシウム134はセシウムの同位体の一つである。天然にはほとんど存在しない人工放射性同位体であり、大半は原子炉や使用済み核燃料などで生成・放出される。また、原子力発電所などからの液体廃棄物中にも含まれており、河川や海の魚類、海藻等で濃縮されるため、環境評価の対象となっている。生体に対する影響では、体内に摂取した時のベータ線による内部被曝が問題になる。物理的な半減期は約2年である。
×(4)誤り。テクネチウム99mは適量のガンマ線のみを放つ特性を活かし、骨・腎臓・肺・甲状腺・肝臓・脾臓など身体各部に対するシンチグラムに用いる。利用例としては、血流測定剤、骨イメージング剤、腫瘍診断剤の放射線診断薬などがある。物理的な半減期は約6時間である。
○(5)正しい。ストロンチウム90はストロンチウムの同位体の一つである。天然に存在する安定同位体よりも中性子数が多い不安定な核を持ち、β壊変をする放射性同位体である。生体への影響では、大部分が骨髄などに集まって造血器官を侵すのが問題となるため、核分裂生成物の中で注目される核種である。物理的な半減期は約29年である。

よく出題される、放射性同位体の半減期に関する問題は解答できるようにしておきたいところです。最低でも半減期の短いものと長いものの区別はしておきましょう。

いかがでしたか?
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