2020年2月21日金曜日

COVID-19 新型コロナウイルス クルーズ船での医学、疫学対策とパンデミックのリスク想定と影響

今回の新型コロナウイルス
COVID-19をめぐる、
クルーズ船での対応や今後に対する一考

厚労省、自衛隊など様々な
指揮系統、そして、クルーズ船という
特殊な状況で組織的に実施、マネジメント
可能だったかどうかは別問題として、
医学的、科学的には少なからず
今回のクルーズ船での対応は
世界基準では誤りの可能性があった。

⭕️レッドゾーン、グリーンゾーン
感染しているかどうか分からない多数の
患者がいる船内。岩田先生が話されていた
ように指揮系統は実施可能かどうか
別とし、外部に設置し、完全に汚染
区域を分類する必要があった。

⭕️感染に対する意識
いわゆる防護服を着て戻る方や
乗船者、治療、事務にあたる軽装備
の方など全て混雑し、実際に厚労省、
内閣官房職員への感染がみられた。

⭕️患者の把握
感染リスクがある患者や発生状況による
岩田先生の話されている情報収集、
統計的な方法が未実施、正しく行われ
なかった可能性が指摘されている。

⭕️船内での感染拡大
レッドゾーン、グリーンゾーンの区域
や隔離などが医学的に充分だったと
いえず、感染拡大のリスク増加につながった。

⭕️検査による帰宅
岩田先生が指摘されているが、
ウイルス感染は初期では、感染と
判断出来ない偽陰性が存在する。

そのため、実際には感染の有無が
明らかでない数千人の方が帰路し、
日本に放たれたと医学的に言わざる得ない。

完全にレッドゾーン、グリーンゾーンの
区分けの中、2週間の隔離、検査が
必要だった。もちろん、船舶内だけでなく
あらゆる手段を検討すべきだが、
実際に施設、人員的に可能かどうか
は別として、少なからず医学的には
かなりの高リスクと言わざる得ない。

⭕️専門家の存在
公開されている状況だけでは不明な
部分も多いが、厚労省や外部へのコンサル
により医学的知識のある方々による
判断は少なからず行われていた。

しかし、岩田先生の話されているように
現場としては、機能していないこと
も多々みられたようだ。これは、厚労省や
自衛隊など様々な指揮系統があり、
これらを統率して指揮系統の
機能を発揮させることが困難だった。

⭕️政府、厚労省、岩田先生への評価
ネットでは政府、厚労省、動画の岩田先生を
はじめどちらが悪いのかという責任の
所在が一部感情論を中心に広がりをみせた。

しかし、大切なことは問題点をしっかり
と区別することであり、今回の問題は

1.医学的、疫学的評価
2.対応のマネジメント
に分けて考える必要がある。

岩田先生の話されている医学、疫学的な
内容は医学、公衆衛生学的に正しい。

一方で、厚労省はこの事実を全て知らなかった
かといえば、それもまた誤りである。

厚労省の現場の方々も発生後の記事
などをみると、岩田先生と同じく、
正しい医学、疫学的知識に基づき
慎重に検討、対策が行われた。

では、これらの意見で異なることは何かといえば、
マネジメント的に実施可能かどうか
の差異であった。厚労省、現場は
正しくとも様々な指揮系統があり、
多数の方が動かれている中で、
実施出来る内容の中で動かれていた。
岩田先生は、世界標準で
今すぐに実施すると動かれた。
その結果、残念ながら現場には
合わないと現場の方々に判断された。

⭕️どうすれば良かったのか
今回のような大規模な特殊環境下
では後に様々な失敗を全て防ぐことは困難である。

しかし、早期の段階で
岩田先生の話されているよう
レッドゾーン、グリーンゾーンの区分け、
隔離をはじめ徹底を行い、乗客の
偽陰性による感染拡大のリスクに
ついてはさらに熟慮する
必要もあったように感じる。

⭕️現場とサイエンス
今回のケースでは、医学、疫学的な
科学に基づく意見と、現場の実施
可能状況の差異が結果として世論を
巻きこんだテーマになった。先ほどの
ように岩田先生の医学、疫学的内容は
正しく、また厚労省や現場では、
最大限頑張っているという感情も存在した。
このある意味ではサイエンスと感情は
境界の狭間が今回の出来事となった。
問題はこの後の前向きな対策である。

⭕️今後
このような今回は検査ではSARS、
エボラ出血熱をはじめ、感染症の
知識、経験とも豊富な日本を代表する
感染症医である岩田先生のお話にある
ようにウイルス量が少ない場合には
偽陰性もみられるため、下船後、
数千人の中には医学的に感染者が
含まれる可能性は存在すると言わざる得ない。

また、厚労省、内閣職員の感染もみら
れるように接触、または、今後他の
職員の発症も否定出来ない。

⭕️全国的な感染拡大
現在、北海道や九州など次々と
発症者が報告され、感染リスク
者は既に著しい増加状態となって
いると考えざるを得ない。もはや
個人単位での感染ルートの対策
だけでは対策は不十分であり、
残念ながら全国的にウイルスは
放たれたと考えざる得ない。

とすれば次のフェーズである、
首都圏をはじめ全国で
感染者の数万、数十万規模の
感染者が発生した際の対策である。

病床、医師、スタッフ、薬、備品
これらは確実に不足が予想される。

医師の中でも感染症医、内科医と
して本治療にあたる医師数は限られている。
また、爆発的な数万人規模の可能性、
全国的な対応が求められる
今回では、厚労省だけでは困難で
医師会をはじめとする各団体への
協力や体制、予算など後方支援が必要である。

コロナウイルスの現在の致死率は
報告などにより異なるが
数パーセントと考えられている。

首都圏など人口密集地域でのパンデミック
では数万、数十万規模の発生時には
公共機関をはじめパニックも危惧され、
また、経済活動は既に一部影響がみら
れている。中小企業や飲食店などでは
倒産リスク、大企業では公共機関の
麻痺などによる影響。日本全体が
重要な局面を迎えている。
正しい医学、疫学対策
そして、これを実施する指揮系統
これらのしっかりとした確立が大切である。