2016年9月23日金曜日

臨床検査技師を目指す現役生のマンツーマン個別指導 腫瘍、腹部大動脈分岐、検査管理学、GVHD


臨床検査技師を目指す現役生、国試浪人生の
ためのマンツーマン個別指導 東京メディカルスクール 代表の岡田です。

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それでは1問目です。


【問題1】良性腫瘍と比較した悪性腫瘍の特徴はどれか。2つ選べ。(病理学)
(1)出血壊死が少ない。
(2)増殖の速度が遅い。
(3)細胞の分化度が低い。
(4)細胞の核分裂が少ない。
(5)周囲との境界が不明瞭である。

解答:3、5

解説:病理学から良性腫瘍と悪性腫瘍の特徴に関する問題です。
良性腫瘍と悪性腫瘍の特徴は、
定期試験や国家試験でも出題されやすい問題です。
特徴を押さえて確実に解答できるようにしましょう。

<良性腫瘍>

(特徴)
・周囲の組織を圧排しながら増殖し、肉眼的にも顕微鏡的にも、
周囲との境界が明瞭な膨脹性増殖を示す。
転移や浸潤傾向を示さない。
・発生母地の組織とあまり変わらない組織構造を示す。構造異型が小さい。
・個々の細胞の形態も母地の正常細胞とあまり大きな隔たりがない。細胞異型が小さい。
・細胞周期が長い(=発育速度が遅い。)。また、異常核分裂を起こさない。


良性腫瘍の種類は、以下のように分類できる。
上皮性良性腫瘍:扁平上皮乳頭腫、腺腫など。
扁平上皮乳頭腫は口腔内などに発生し、腺腫は胃や大腸に発生する。
非上皮性良性腫瘍:線維腫,軟骨腫,脂肪腫,血管腫,
平滑筋腫など。全身の軟部組織のいずれにも発生する。
平滑筋種は子宮に見られるものが有名である。

<悪性腫瘍>


(特徴)
細胞分裂の周期は短い(=発育速度が早い。)。
浸潤性に増殖し、転移をきたす腫瘍であり、正常細胞との境界が不明瞭である。
また、離れた場所への転移をきたす。
悪性腫瘍の種類は、以下のように分類できる。

上皮性悪性腫瘍:扁平上皮癌、腺癌、移行上皮癌など。
扁平上皮癌は食道、肺、子宮頚部などに、腺癌は胃、大腸などに、
移行上皮癌は膀胱などでの発生が多い。
非上皮性悪性腫瘍:線維肉腫、骨肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、
横紋筋肉腫など。全身の軟部組織のいずれにも発生する。
造血組織性腫瘍:リンパ腫、白血病など。リンパ腫は全身のリンパ装置、リンパ節に発生する。
白血病は血液の中に発生する。
胎児性腫瘍:奇形腫、腎芽細胞腫、肝芽細胞腫など。奇形種は卵巣に発生するものが有名である。腎芽細胞腫、肝芽細胞腫は小児期に発生する腫瘍である。

良性腫瘍、悪性腫瘍の種類に関して詳しく問う問題は、
あまり出題されることはありませんが、
予備知識としておくと良いでしょう。


続いて、2問目です。

【問題2】腹部大動脈から直接分岐する動脈はどれか。(解剖学)
(1)腹腔動脈
(2)総腸骨動脈
(3)脾動脈
(4)内頸動脈
(5)椎骨動脈

解答:1
解説:解剖学から動脈に関する問題です。
国家試験では、動脈血が流れる臓器と静脈血が流れ
る臓器を問う問題が出題されています。
模擬試験でも問われやすい問題ですので、覚えるようにしておきましょう。


問題文中の腹部大動脈から分枝する動脈は次の5つである。
<腹腔動脈・上腸間膜動脈・腎動脈・精巣動脈(卵巣動脈)・下腸間膜動脈>

◯(1)腹腔動脈:腹腔動脈は1~2cmの長さで短いが太い動脈で,
大動脈が横隔膜を通りすぎてすぐか,あるいはまだ大動
脈裂孔のなかを通っている所でその前壁から始まる。
1度に3本の枝に分れるか、あるいはまず1本の枝を出して、それから
2本に分れる。その3枝とは、左胃動脈・総肝動脈・脾動脈である。

×(2)総腸骨動脈:左右の総腸骨動脈は第4腰椎の下端で
始まり65°(男)から75°(女)までの角度をなしてたがいに離れ
て下外側に向い、4-6cm走ってから仙腸関節の高さでそれぞれ
1本ずつの内腸骨動脈と外腸骨動脈とに分れる。

×(3)脾動脈:腹腔動脈の3本の枝のうち最も太いもので
膵臓の大部分と胃の左の部分、および脾臓に血液を送ってい
る。この動脈の枝には膵枝、短胃動脈、左胃大網動脈である。

×(4)内頸動脈:上行大動脈から分枝してできる、
左右の総頸動脈から分枝する。脳、眼窩の諸器官、および前頭部に枝
を送る。甲状軟骨の上縁の高さにおいて総頚動脈から出て、
ほとんどまっすぐに頚動脈管の外口に向かい、
この管のなかを通りぬけて蝶形骨の頚動脈溝にいたる。

×(5)椎骨動脈:鎖骨下動脈の最初の枝であり、
また最も太い枝として鎖骨下動脈が胸部で弓状をなしているところの凸
側縁から出て、前斜角筋の後を上方にすすみ、
ふつうは第6頚椎の肋横突孔、ときには第5頚椎のそれにはいる。それからほ
ぼまっすぐに肋横突孔が上下にならんでできている
管の中を第2頚椎まで上り、この椎骨の肋横突孔の中で後外方にまがり
(第1弯曲)、そこから弓状をなして環椎の肋横突孔に達し(第2弯曲)、
環椎の外側塊の後面に向かって廻り、この骨の椎骨動
脈溝の中にいたる(第3弯曲)。最後に環椎の後弓から
大後頭孔の側方縁に向かって前上方にすすむ(第4縫曲)。そのさい後環
椎後頭膜と硬膜を貫く。その後斜台の上で、
脳の橋の下縁のところで左右の椎骨動脈が相合して1本となり正中にある不対
の脳底動脈となる。

大動脈のうち、腹部大動脈と胸部大動脈は
人体を構成する血管系のなかでも幹をなす大動脈系です。
ここから分岐する動脈は特に生命維持に重要です。

解剖学の教科書・参考書でその名称と、どの臓器
に血液を供給しているのかを確認しておきましょう。
では、次の問題です。

【問題3】管理試料を用いる内部精度管理手法はどれか。(検査管理学)
(1)反復測定
(2)コントロールサーベイ
(3)デルタチェック
(4)x ?ーRsーR管理図法
(5)項目間の相関性

解答:4
解説:検査精度管理に関する問題です。
過去2~3回の国家試験では出題されていませんが、過去の模擬試験や国家試験では出題されています。比較的出題されやすい問題です。

得点に結びつきやすい問題ですので、落とすことの無いようにしましょう。
日常検査における精度管理手法には、検査室内の
分析法の管理である内部精度管理、検査室間の
分析誤差を解析・管理する外部精度管理に分けられる。
以下に、内部精度管理と外部精度管理の手法を示す。

●内部精度管理(検査室内精度管理)
1.管理試料を用いる方法
 x ?ーR管理図法・x ?ーRs管理図法・x ?ーRsーR管理図法
 累積和管理図法・Westgardのマルチルール管理図法
2.患者データを用いる方法
 反復測定(R/X ?法)・基準値平均法
3.個別データ管理法
 測定値の範囲チェック・項目間の相関性を利用した方法
 デルタチェック法(前回値との比較)

●外部精度評価(検査室間精度評価)
 広域的コントロールサーベイ・地域的コントロールサーベイ
個々の管理手法について説明をしたいところではあるが、
ページの都合上割愛させていただく。
詳細は成書を参考とされたい。

精度管理に関する問題は、出題する場合のパターンがほぼ決まっています。
上記の手法を覚えておけば、解答に結びつけることができるでしょう。
次が最後の問題です。

【問題4】輸血後移植片対宿主病(GVHD)の
危険因子とならないのはどれか。2つ選べ。(免疫・輸血検査学)

(1)自己血による輸血
(2)患者と供血者とのHLA one-way match
(3)白血球除去フィルターを使用した血液
(4)採血後3日以内の新鮮血輸血
(5)輸血用血液の放射線照射

解答:1、5

解説:輸血検査学から輸血の副作用である(GVHD)に関する問題です。
輸血による副作用にはいくつか種類がありますが、
最も重要な副作用がGVHDです。
定期試験や模擬試験レベルでは出題される問題です。
また、国家試験でも狙われる可能性のある問題です。

●輸血後移植片対宿主病(GVHD)とは・・・
輸血によって輸注された供血者のリンパ球が受血者の体内で増殖し、受血者の体組織を非自己血と認識し攻撃することによって生じる病態である。
日本輸血・細胞治療学会による「輸血によるGVHD予防のための血液に対する放射線照射ガイドラインV」、4ページ、「1」輸血後GVHDの病態と原因の
2.輸血後GVHDの原因と危険因子において、その危険因子がいくつか挙げられている。

    HLA一方向適合(HLA one-way match)
    免疫不全状態
  ・先天性免疫不全症          ・造血幹細胞移植、臓器移植
  ・胎児、新生児「特に低出生体重児」  ・白血病、悪性リンパ腫
  ・強力な抗癌剤投与          ・放射線照射
  ・免疫抑制療法を受けている患者
外科手術(特に心臓血管外科例、担癌症例、
重篤な外傷例、急性の大量出血例)、高齢、初回輸血
新鮮な血液の使用:特に採血後3日以内の血液、採血後14日までの血液、
血液製剤の種類:新鮮凍結血漿を除く輸血用血液(残存するリンパ球によるGVHD発症の危険)
このことから、解答は1、5となる。

(補足)白血球除去フィルターを使用した血液は、
有効な予防策として考えがちであるが、残存するリンパ球によるGVHD発症(完全な除去までは行えない。)の危険やフィルター除去血でも発症例があり、
完全に予防できる方法ではないとする見解が多数である。
輸血検査の問題は、国家試験で必ず1~2問は出題されます。
出題傾向は、輸血検査や移植に関するものが、高いですが
重要な副作用であるGVHDについても出題される可能性が十分にあります。
これを機に理解しておきましょう。

いかがでしたか。
9月に入り、後期の授業が始まった学校もあると思います。
低学年の方は、後期から新たな科目の講義や実習が始まりますが、
一つ一つの履修科目を単発で理解するのではなく、
系統的に考えていくことが今後に生きてきます。

高学年の方、模擬試験の点数で一喜一憂することはあると思いますが、
国家試験は基準点をクリアできれば120点でも160点
でも合格となります。
点数で一喜一憂するより、不正解だった問題を再度
見直し一問でも多く解答できるようにすることが大切です。

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