2017年1月26日木曜日

臨床検査技師 定期試験対策、国家試験対策


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定期試験・臨床検査技師国家
試験対策無料メールマガジン、第12回目です。

第12回目は前回に引き続き、基礎的な知識を応用した問題、
模擬試験や国家試験に出題されるような問題を作成しました。
低学年の皆さんも、トライしてみましょう。
高学年の皆さんは、全問解答できるのではないでしょうか
問題は全部で5問あります。さっそく始めましょう!
それでは、1問目です

【問題1】ビウレット反応に関与するのはどれか。(化学分析検査学)
(1)カルシウム
(2)マグネシウム
(3)銅
(4)鉄
(5)亜鉛



解答:3



解説:化学分析検査学(臨床化学)からタンパク質の
測定方法であるビウレット法に関する問題です。
模擬試験や国家試験にも出題されやすい測定法の一つですので、
おさえておきましょう。
血清(血漿)中の総タンパクの測定法には、

・窒素量から測定する方法
・屈折計法
・ビウレット法がある。

ビウレット反応
とは、アルカリ溶液中でタンパク中の
4個のペプチド結合(-CO-NH-)が2価の銅(Cu2+)と錯塩を形成し
紫紅色に発色する反応である。

ビウレット法はタンパク質の測定に多く用いられています。
この問題を落とすのはもったいないですので、反応原理をよく理解しておきましょう。

次の問題に行きましょう!

【問題2】染色体検査で染色体の観察・写真撮影に
蛍光顕微鏡を用いるのはどれか。2つ選べ。

(1)NOR染色法(Ag-NOR法)
(2)G分染法(GTG)
(3)R分染法(RBG)
(4)DA-DAPI染色法
(5)Q分染法(QFQ)


解答:4、5
解説:染色体検査に関する問題です。
過去の模擬試験・国家試験でも染色体検査について出題されたことがあります。
多少難易度が高い問題ですが、トライしてみましょう。

×(1)誤り。NOR染色法(Ag-NOR法):核小体形成部位にある
rRNA遺伝子の存在部分を特異的に染め出す。
D/G群染色体のサテライトストーク部分を濃染する。写真装置を装備した光学顕微鏡を用いて観察・写真撮影を行う。
×(2)誤り。G分染法:バンドパターンの詳細な検討が可能なことから、最も一般的に用いられている方法である。
A-T優位部が濃染して観察される。
写真装置を装備した光学顕微鏡を用いて、モノクロ写真にする。
また、コントラストをつけるためにグリーンフィルタをセットし撮影する。
×(3)R分染法:Gバンドと逆(Reverse)の濃淡を示す。G-C優位部分が濃染される。
この方法により、後期複製される不活化X染色体を識別することもできる。写真装置を装備した光学顕微鏡を用いて観察・写真撮影を行う。
○(4)DA-DAPI染色法:1/9/16番及びY染色体のC-バンド領域と15番染色体短腕とを特異的に染める。
ヘテロクロマチン領域の確認のほか、15番染色体短腕の関係した構造異常(i(15q)など)の同定に用いられる。
蛍光顕微鏡で観察する。UV励起を使用する。
○(5)Q分染法:G分染法とほぼ同様のパターンとしてA-T優位部が蛍光バンドとして観察される。異型性の解析に有用である。
特にY染色体の長腕のヘテロクロマチン領域が強い蛍光で観察される。蛍光顕微鏡で観察する。BV、B励起のいずれかをセットする。

各染色法のすべてを覚えるのは難しいと思います。
その染色で何が染め出されるのか?観察に必要な機器は何か?
を覚えておくと解答に結びつけることができるのではないかと思います。

続いて、3問目です。

【問題3】65歳女性。発熱と咳を主訴に来院した。
1~2週間前に旅行に出かけた際に温泉を利用していることがわかっている。
患者の検査材料として、尿及び喀痰が提出された。微生物の特徴と生化学性状を次に示す。原因菌として考えられるのはどれか。
(微生物検査学)
・特徴:喀痰を好気的環境下(35℃)で培養したところ
WYO培地に発育した。通常のグラム染色を行ったが染色性が悪かった。
・生化学性状:カタラーゼ反応(-)、糖分解能(酸酸性;-)、ゼ
ラチン液化試験(+)、馬尿酸加水分解能(+)、
βラクタマーゼ産生(+)
(1)Actinomyces israelii
(2)Capnocytophaga canimorsus
(3)Legionella pneumophila
(4)Bordetella pertussiss
(5)Legionella micdadei

解答:3
解説:微生物検査学から微生物の特徴と生化学性状から原因菌を推定する問題です。
まず、患者は発熱と咳を主訴にしており、直近で温泉施設を利用している。年齢的にも比較的高齢の部類に属することから、普通感冒(いわゆる風邪)やインフルエンザ感染症の可能性以外にも、市中肺炎や日和見感染の原因となる細菌の可能性も考えたい。
次に、検査材料として尿及び喀痰が提出されている。喀痰を好気的環境下(35℃)で培養したところ選択分離培地であるWYO培地に発育したとある。また、グラム染色性も良好ではない。
ここまでを踏まえ、原因菌について検討する。
(1)Actinomyces israelii:ヒトの口腔内や咽頭、扁桃に常在し内因性感染を起こす。アクチノミセス症(放線菌症)を起こす原因菌であることが知られている。微好気性ないし偏性嫌気性であるが、偏性嫌気性菌として取り扱われることが多い。培養にはチオグレート培地やブレインハート・インフュージョン培地、嫌気性菌用培地を用いる。10%CO2の添加で発育が促進される。
(2)Capnocytophaga canimorsus:ヒトの口腔内常在菌であり、喀痰や髄液、羊水、女性性器などから分離される。免疫機能が低下したヒトに日和見感染症としての菌血症や歯周囲炎、口腔内感染を起こす。培養には血液寒天培地やサイヤー・マーチン寒天培地に発育する。
(3)Legionella pneumophila:ヒトに対しては肺炎や発熱を主徴とするポンティアック熱を引き起こす原因菌である。本菌の分布の特徴として、自然界だけでなく、一般の建物の冷却用水や給水・給湯系、加湿器、噴水、温泉などの水環境にも生息可能である。各種細菌用培地には全く発育せず、B-CYEα寒天培地やWYO培地が利用される。
(4)Bordetella pertussiss:百日咳(whooping coigh)の原因菌で、気道を介して感染する。本菌の培養にはボルデー・ジャンク(Bordet-Gengou)培地が用いられる。
(5)Legionella micdadei:Legionella pneumophilaに同じ。
このことから、解答は(3)または(5)に絞られる。
次に、L.pneumophilaとL.micdadeiの違いを生化学性状から検討する。多くの生化学性状で両者は一致するが、自発蛍光・ゼラチン液化試験・βラクタマーゼ産生の点で異なる。L.pneumophilaは自発蛍光で暗黄色を示し、ゼラチン液化試験(+)、βラクタマーゼ(+)であるのに対してL.micdadeiはこれらすべてが(-)である。
以上のことから、解答は(3)となる。

こうした問題の多くはその文章中に解答に
結びつくキーワードが散りばめられています。
それらを上手く整理して解答に結びつけていきましょう。

あと2問です。頑張りましょう!
【問題4】ヒトDNAの抽出法について誤っているのはどれか。(遺伝子検査学)

(1)パラフィン標本はサザンハイブリダイゼーション法では解析できない。
(2)血液材料からの細胞分離に用いる抗凝固剤は、EDTA-2Naよりもヘパリンが適する。
(3)骨髄液からの細胞分離には、ライジング溶液で赤血球を溶血させる。
(4)DNAがごく微量の場合には、フェノール・クロロホルム法が適する。
(5)フェノール・クロロホルム法は陽イオン界面活性剤を用いた抽出方法より操作が簡便である。

解答:2、5

解説:遺伝子検査学からDNAの抽出に関する問題です。
最近では遺伝子検査に関する問題もいくつか出題されるようになりました。
検査技術が発展するにしたがって今後も問題数が増えていくと思われます。

○(1)正しい。パラフィン標本はDNAが分解しているため、サザンハイブリダイゼーション法では解析できないが、
PCRで増幅して解析できる場合がある。パラフィン標本からのDNA抽出には、タンパク質吸着樹脂を用いた方法が有用である。
×(2)誤り。検査材料が血液の場合は、採取時の抗凝固剤としてEDTA-2Na(3Na、2Kまたは3K)あるいはクエン酸ナトリウムを使用する。ヘパリンの場合でもDNAの抽出は可能であるが、PCRで増幅不良になったり、稀に制限酵素で消化されないケースがあるため、適さない。
○(3)正しい。骨髄液の場合は、5~10倍量のPBS(-)を加えて細胞を洗浄し、1,800rpmで10分間遠心して上清を捨てる。ライジング溶液(1,000mL当たり8.26mg塩化アンモニウム、1.0g重炭酸カリおよび37mgEDTA-4Naを含む水溶液)5mLを加えて赤血球を溶血させる。
○(4)正しい。検査材料中のDNA量がごく微量しか存在しない場合には、試薬量と検体中のDNA濃度とのバランスが合わず、回収率が低くなることがある。また、血液中の白血球数が極端に少ない場合にはDNAが回収されないこともある。この場合には、タンパク質分解酵素と有機溶媒を用いたフェノール・クロロホルム法が有用である。
×(5)誤り。フェノール・クロロホルム法は、多くの種類の検査材料に適し、回収率と純度が安定している。しかし、操作が繁雑なこと、腐食性有機溶剤を必要とする難点がある。検査材料中の細胞数がある程度一定である場合には、簡便な陽イオン界面活性剤を用いた抽出方法を用いることができる

遺伝子検査のなかでもDNAの抽出は基礎的操作です。基礎な内容を問う問題は点数に結びつけてほしいところです。

次で最後の問題です。

【問題5】病理検査に用いる染色液の組成と染色結果を次に示す。
考えられる染色方法はどれか。(病理検査学)

染色液:
・フェノールコンゴーレッド液(原液:コンゴーレッド0.2g,脱イオン水100mL)
・アンモニア・アルコール(20%エチルアルコール,28%アンモニア水0.1mL)
染色結果:
・目的物質は澄赤色に染色された。
・偏光顕微鏡下では黄色偏光性が認められた。
・弾性線維、膠原線維との共染は認めなかった。

(1)マッソン・トリクローム染色
(2)キンヨン染色
(3)ズダンIII染色
(4)アミロイド染色
(5)ワイゲルト染色

解答:4
解説:病理検査学から染色液と染色結果から染色方法を問う問題です。この形式では国家試験には出題されたことはありませんが、
病理検査に用いられる染色法にはそれぞれ特徴があります。このような形式で出題されても対応できるようにしておくことも必要です。
×(1)誤り。マッソン・トリクローム染色は、結合組織中の弾性繊維・膠原繊維・細網繊維を染色する。本法の特徴は鉄ヘマトキシリンで細胞核を黒紫色に染め出すことができる点である。用いる染色液は、ワイゲルトの鉄ヘマトキシリン、0.5%オレンジG液、ポンソー,キシリジン酸フクシン液、アニリンブルー液である。
×(2)誤り。キンヨン染色は結核菌をはじめとする抗酸菌の染色法である。これらが赤色に染色される。染色液は、キンヨン液(塩基性フクシン,フェノール,95%アルコール,脱イオン水,タージトール)、1%塩酸アルコールを用いる。
×(3)誤り。ズダンIII染色は組織内の中性脂肪の染色法である。組織中の脂肪滴が黄色から赤色に染まる。ズダンIII70%アルコール飽和液を用いて染色する。
○(4)正しい。アミロイド染色には、フェノールコンゴーレッド液(原液)とアンモニア・アルコールを用いる。組織中のアミロイドは、澄赤色に染色される。偏光顕微鏡下では黄色偏光性を示す。アミロイド物質の種類による染色性の相違は認められない。
×(5)誤り。ワイゲルト染色は、弾性繊維の選択的染色法である。膠原繊維を染色するワンギーソン染色と組み合わせても使用される。弾性繊維が特異的に黒紫に染色され、他の組織部分は薄い赤色に染め出される。染色液として、ワイゲルト染色液(A液:塩基性フクシン5.0g,レゾルシン10g,脱イオン水500mL・B液:塩化第2鉄4g,脱イオン水20mL)、ケルンエヒテロート液(5%硫酸アルミニウム液100mL,ケルンエヒテロート0.1g)を用いる。

出題形式としては珍しい部類に入るのではないでしょうか。しかしながら、問題の難易度としてはそれほど難しくはありません。出題形式を変えられても解答が導き出せるようにしておきましょう。

いかがでしたか?
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